「シンガポールでの滞在‐新潟大学若手事務職員短期海外派遣研修に参加して」

 
掲載:2010年4月



2月、雪がうっすらと残る新潟から、チャンギ国際空港に降り立ったとき、まず思ったこと――暑い!


すぐにジャケットを脱ぎ、そして、シンガポールに降り立ったことをしみじみと実感しました。


私がシンガポールを訪れるきっかけとなったのは、新潟大学の「若手事務職員海外派遣研修」です。学生向けの短期留学体験プログラムの中の、英語研修に受講生として参加し、合わせて参加学生の引率補助も行うというものです。このプログラムは今回で3回目となります。



私がこの研修に参加したのは、私は大学の図書館に勤めているのですが、英語を話せる職員が少なく、今後、留学生に対して十分なサービスを提供きるのかという不安があったからです。英語を話せる人にまかせるのではなく、自らサービスを提供できるようになりたい。実際に英語を話さざるをえない環境に身を置くことにより、英語に対する苦手意識をなくしていきたいと考えたからでした。



英語研修は、平日の午前中、シンガポール国立大学 (NUS)の公開講座部門、NUS Extensionで行われました。はじめは、授業についていけるか不安でしたが、NUSの先生方は易しい単語を使って、私たちが理解できるように配慮してくださったので全く問題ありませんでした。授業の内容は、前半が発音(Phonics)、後半がオーラル・コミュニケ−ションです。私は、これまで「発音」の授業を受けたことがなかったので、口の形や舌の位置を意識しながら話すということに戸惑いもありましたが、新鮮でもありました。また、オーラル・コミュニケーションの授業は、私が高校生のとき受けた「文法ありき」の授業とは違っていて、自分で質問を組み立てたり、相手からの質問に対して自分の意見を伝えたりする訓練になりました。日本では日常で英語を使う場面がなく、勉強したきりになっていましたが、こちらでは食事のときや買い物のとき、TVを見ているとき、あらゆる場面が実践の場でした。




Tea Breakの時間には、美味しいお菓子と先生との会話を楽しみましたし(ときに、次のクラスに遅れてしまうくらい夢中に!)、NUS Extensionでの時間はあっという間に過ぎていきました。日本を恋しく思う反面、シンガポールにもう少し滞在したい−複雑な気持ちでした。



英語研修以外にも、アラブ・ストリート、マーライオン公園、チャイナ・タウン(ちょうど中国のシーズンでしたので、夜のイルミネーションがとても華やかでした!)、クラーク・キーでのクルージングなど、観光も楽しみました。一国にいながら、これほどいろいろな国の雰囲気を味わえるのは、シンガポールの魅力だと思います。同時に、自分の民族としてのアイデンティティを確立しつつ、それぞれの民族に属する人たちがお互いの文化を尊重し合う姿は、日本が見習うべき点であると思いました。



また、文化施設の充実ぶりにも驚きました。シンガポール国立博物館は、館内の通路を一部無料開放し、近くの公園に遊びに来ていた人が大通りにアクセスする際の抜け道として、博物館に足を運ぶように工夫されていました。シンガポール美術館は、金曜日の18時以降は入館料が無料になっています。私は、金曜日夜に美術館を訪れ、ボランティアのガイドさんによる館内ツアーに参加しました。ガイドさんの英語の説明は、半分くらいしか理解できていなかったと思いますが、芸術に言葉は不要!作品を大いに堪能させてもらいました。



今回、研修に参加したことによって、留学生に対して十分なサービスをできるだけの語学力が身についたかと言えば、そうは思えません。ですが、英語に対する苦手意識は薄くなったように思います。上手に話すことが重要なのではないのですね。お互いが、お互いを理解しようとする気持ちが、一番大切なのだと知りました。今度、困っている留学生を見かけたら、こちらから声をかけていきたいです。



一週間の短い滞在でしたが、シンガポールが大好きになりました。一年を通して温暖な気候、フレンドリーなシンガポールの人たち、美味しいローカルフード。そう、食道楽の私にとって、シンガポールは食事面でも最高の国でした。チキンライス、ラクサ、バクテー・・・1週間では全然足りないです!



シンガポールを訪れるきっかけをくれた新潟大学、NUSの明るくて優しい先生方、現地で出会った人たち全てに、感謝を伝えたいです。



今度は友人と訪れたいです。そのときは、どうぞ温かく迎えてください。