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「教育省語学センター卒業生総代スピーチ(ウン・ショックユン・エイプリルさん)」 | |||
掲載:2011年6月
ご来賓の皆様、そして会場の皆様、こんにちは。私は現在日本の早稲田大学に留学しています。ですから、画面越しでしか挨拶できなくて、申し訳ありません。そして、何より、皆様に直接お会いできなくて、本当に残念です。 このたび、大使杯受賞を賜ることになり、本当に光栄です。思えば、今の私がいるのは、まさに6年前、シンガポール教育省が日本語を勉強する機会を与えてくれたおかげです。当時の私は、アニメや漫画などに興味を持っていて、日本語でアニメや漫画を理解できればいいなぁと思い、この機会をありがたくいただきました。今からみると、それはいわゆる”ひとつの選択で人生が変わる”ということだったかもしれません。この選択によって、当時片言の日本語も話せなかった私が、今このように、日本に留学することになるとは思いもよりませんでした。もし当時、日本語を勉強する機会がなかったら、今の私はどこで何をしているのか...それは、私には考えられない状況でもあり、考えたくない状況でもあります。 日本語を勉強してから、いろいろな素敵なことができるようになりました。日本語がわかるようになってから、もう翻訳が出るまで待つことなく、最新のアニメやドラマや映画などが見られます。最新の漫画や小説も読めます。少し自慢なのは小説「告白」が映画化される前に、私はもうすでに読み終えたことです。 そして、日本人と交流する機会も大幅に増えました。センターでの6年間は、日本人と交流する機会がたくさんありました。その中で最も大切な経験は、高校の時の、早稲田渋谷シンガポール校とのlocal immersion programmeでした。これは早稲田渋谷シンガポール校に3日間体験入学するプログラムでした。朝から午後3時ごろまで、日本人の学生と一緒に授業を受け、歴史や国語を習いました。歴史の授業の時、時代劇でしか聞いたことのない名前が出て、「うわ、覚えにくい名前ばかり・・・。私なら絶対覚えられないよ」、「この科目のテストを受ける必要がなくてよかった」とひそかに思いました。そして、放課後、友達の部活を見学させてもらい、初めて茶道を間近で見て、それからなんと、自分で茶を点ててみました。でも、やはり難しいです。全然うまく点てられなくて友達の点前に感心しました。また、剣道も見学させてもらえました。近くで見る剣道は、やはり迫力があります。そして、私も少し剣道をやってみました。竹刀を手に取り、友達と一緒に大声を出して「面!」と叫びながら竹刀を振りました。やはり、きれいに竹刀を振れませんでした。3日間はあっという間に過ぎ去ってしまいましたが、日本の高校生活を体験でき、日本人との交流ができ、日本語も盛んに使えて、本当に充実した決して忘れられない思い出になりました。 また高校一年の時、日本の会社員の方にインタビューさせてもらえました。インタビューから、日本の社会の厳しさをしりました。教科書にも書いてあるように、日本の社会は上下関係と礼儀などをとても重視していることがわかりました。仕事場で上下関係をきちんと守らなければならないから、敬語は必修だと聞いて言葉と社会のつながりの深さを学びました。 今こうして過去を振り返ってみると、この語学センターで日本語の勉強ができたのは今までの人生最良の経験だったと思います。ここにお礼の言葉を申し述べさせていただきます。先ず、第一に、日本語を勉強する機会を与えてくれた語学センターに、本当にありがとうございました。そして、この6年間お世話になった先生方、赤司先生、タン先生、チュア先生、そして遠藤先生、いつも親切にご指導くださいまして、誠にありがとうございました。そして最後に、いつも私を支えてくれた父と母に、そして6年間一緒に日本語を勉強してきた仲間たちに、心から感謝したいと思います。 最後になりましたが、語学センターの後輩たちに伝えたいことがあります。自分の学んでいる言語に全身全霊を捧げましょう。どんな言語を学ぼうが、自分から積極的にその言語とその文化に触れようとしなければ、興味を持とうとしなければ、上達は望むべくもありません。私は語学センターの授業やプログラム以外にも、アニメをはじめ、漫画、音楽、小説、ドラマ、バラエティ番組、ニュース番組、ツイッターやブログなどあらゆる手段を利用して日本語を学び、そして今、日本に行き、日本語に全身全霊を捧げています。ここまでできなくても、少なくとも授業以外に学んでいる言語を使う機会を作りましょう。もしここに、まだ戸惑っている方がいるのなら、私の尊敬している歌手、宇多田ヒカルさんが書いた歌詞を捧げます。 「もう済んだことと決めつけて損したこと あなたにもありませんか?」 「どんなことでもやってみて 損をしたって すこし経験値上がる」。 さあ、皆さんも後悔をしないように一歩踏み出しましょう。 後輩の皆さん、心から皆さんの健闘を祈ります。ご清聴ありがとうございました。 |