シンガポールは、東南アジア地域では比較的治安も良く、また日本での生活とほぼ変わりなく過ごせるためつい外国で生活していることを忘れがちです。しかしながら、近年テロ組織のシンガポーリアンメンバーが国内外で逮捕されたり、テロ防止策として交通規制が場所により設けられたり、とテロの可能性を意識せずにはいられなくなりました。普段より会社・家族内で何かあったときの落ち合い場所や安否の確認を取りまとめられるような友人・親戚(シンガポール島内とその他の地域に1人ずつ)を決めておきましょう。
警告シグナル |
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シグナルの種類 |
聞いてみよう |
いつ鳴るか |
どうしたらいいか |
警報 |
空襲か爆撃が差し迫ったとき |
直ちにシェルターへ移動 |
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警報解除 |
危険が回避されたとき |
シェルターを離れてもよい |
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重要なメッセージ |
ラジオを通じて重要な放送がなされるとき |
FMラジオ放送を聞く |
雷を伴った嵐が発生したときには、家屋や建物・自動車の中に入り、金属類には近寄らない。
家にいる場合
シンガポールは、地震発生地域の外に位置しますが、周辺地域で発生する地震の影響により、シンガポールの一部地域で微震が起こり得ます。これらの微震は、通常大きな被害は引き起こしませんが、微震が発生したときに取るべき行動を知っておくと、不必要な心配や怪我を避けることができます。
津波とは
津波は、海中や海岸付近で発生する地震等による海底活動により形成される波です。
多くの津波は、海底震動を引き起こす、海中で起こる地震が原因で起こります。発生した地点から波は全方向に長距離を進みます。深海では津波を感知することはありませんが、岸に近づくにつれ、波の高さが増します。
シンガポールは、津波の影響を受けるか
シンガポールは、北はマレーシア半島、西と南はインドネシア群島、東をボルネオと陸地に囲まれているため、津波から守られています。このような理由により、シンガポールが津波による直接の影響を受ける恐れは、大変少ないと考えられています。このような想定下でも、シンガポールには、90年代中頃より地震監視装置が設置されています。気象事業部が管理するこのシステムは、小さな地震の活動を監視しています。
津波が発生したら
高地へ至急移動
−海岸沿いの低い場所に位置する家や建物は、安全ではありません。
−津波警報が発令されたら、そこには留まらない。
頑丈な造りの建物へ避難する。
−鉄筋コンクリートの建物の上層階へ登る。時間がないときは、素早く内陸か高地へ移動する。
水深が深い場所へ移動する。
−ボートや船に搭乗しているときは、沖に向かって移動する。
−悪天候の時は、橋脚にボートを泊め高地に移動した方が賢明な場合がある。
警告解除の合図を待つ。
−状況の安全が確認されるまで、その地域には、近づかない。
−津波は、一連の大小様々な大きさの波で形成されているので、第一波が過ぎ去ったからと言って危険を脱したと思わない。
シンガポール島内での電力停止はほとんど起こりませんが、備えあれば憂いなしです。
必需品シェルターは公共住宅(HDB)の各部屋(ハウスホールド・シェルター)、各階(ストーリー・シェルター)、MRT駅や学校、コミュニティー・センター、HDBの地下等の公共建築物(パブリック・シェルター)に設置されています。シェルターは、有事の武器攻撃からの保身目的のものです。
ハウスホールド・シェルター内には、照明、電源、電話、テレビ・ラジオの電源差し込み口以外に、2つの換気口が設置されています。
有事の際には
平時の間は
以下のアドレスにてパブリック・シェルターを検索できます。
http://www.scdf.gov.sg/
パブリック・シェルターの目印
以下のような地形を利用して身を守る。
ガラスにテープを貼ることにより、ガラスが飛び散るのを防ぐ。
また、バルコニーや窓際、壁に掛かっているものは移動させる。
生物兵器は、スプレー缶や汚染された食物や水や蚊やネズミなどの感染媒介動物を介して
生活環境に故意に放出され得ます。
生物兵器攻撃とは、故意に薬品を散布し、人々に被害をもたらすことです。天然痘などの菌は、人から人へ感染する病気になり得ます。なお、炭疽菌は、伝染しません。
生物兵器による攻撃は、病気の元となる菌が発見され得ない潜伏期間があるため、直ちにそれとわからないことがあります。
以下の点に注意を払う
−通常に見ない粉っぽい又は、ジェル状の物質や怪しいスプレー缶など。
−地域で異常発生している病気の報告。
−救急処置を必要とする大勢の急病患者。
生物兵器攻撃発生時には
生物兵器攻撃を見極め、確認するには、時間を要します。その結果、保健所等の職員は、自身と家族を守るためにどう対処して良いか適切な情報を提供しかねる場合があります。しかし、当座は、ニュースで動向を観察したり、清潔さを保ったり、できることはいくつかあります。
−マスコミから病気の兆しや症状や、病気になった際にはどこに行けばよいかなど等の詳しい情報を得る。
−手洗い・うがいで清潔さを保ちバイ菌の拡散を防ぐ。
−多くの病気は似かよった症状を持っています。全ての病気が生物兵器攻撃によるものと思いこまない。
−不確かであれば、医師の意見を仰ぐ。
生物兵器攻撃に直面した場合
生物兵器攻撃の被害にあった人は、外見でわかるような症状を感じないかもしれませんが、もしあなたや他の人が攻撃にさらされたら、以下の行動をとってください。
自分が生物兵器攻撃にさらされたら
−生物兵器が放出された疑いがあるところを見極め、直ちにその場から離れる。
−鼻と口をハンカチ等で覆う。
−建物の管理者と警察に連絡をする。
−緊急に連絡を取る必要があるときに備え、自分の連絡先を残す。
−できる限り早く、石けんと水を使ってシャワーを浴び、きれいな服に着替える。
−自身や家族の調子が悪くなったり、発熱したときは、当局が指定した病院で診てもらう。
周りの誰か生物兵器攻撃にさらされた疑いがあるとき
−生物兵器にさらされた疑いがある人に近づく場合は、自分の鼻や口を覆い、保護することが大事です。
−そうでなければ、その人から距離を保ち、直接触れないようにする。
−医療機関に応援を求め、常に保健省のアドバイスに従う。
炭疽菌
炭疽菌は、伝染はしませんが公共の安全を脅かすものです。シンガポールでは、警察・SCDF・保健省・シンガポールポストによって予防措置が執られていますが、一般の方も万が一の可能性に注意を払いましょう。
テロリストは、数々の化学物質を使って攻撃し得ます。
神経系:涙目、唾液の分泌、排尿、呼吸困難、嘔吐、痙攣、呼吸器まひ、死
水疱(ブリスター)系:皮膚の赤み、激しい痛みと接触した箇所に水疱発生、呼吸器の激しい炎症
血液系:頭痛、むかつき、吐き気、かすみ目、めまい、ひきつけ、昏睡、死
窒息系:のどの渇き、胸苦しさ、むかつき、涙目
建物内にいるときに
−被害が出ている場所を通過せずに、建物から離れる。
−ウェットタオル等で、口と鼻を覆う。
外にいるときに
−ハンカチ等で口と鼻を覆う。
−危険な化学物質を含んでいる可能性があるので、風が吹いている方には歩かない。
−シェルターを見つけるか建物内にできるだけ早く避難し、イン−プレイス・プロテクション(次項で解説)を実施する。
運転中
−自宅、会社または公共施設の近くにいるときは、早急に向かい屋内に入る。
それが不可能な場合は、
−窓と通風口を閉め、可能であればエアコンの通風口をテープで塞ぐ。被害地域から離れる。
−ハンカチ等で口と鼻を覆う。
−ラジオで詳しい情報と指示を得る。
目が潤んだり、肌に刺すような痛みがあったり、呼吸に問題が生じたときは、化学物質にさらされた可能性が考えられます。
被害者から距離を保ち助けを求める。
化学、生物、放射線汚染は、故意または事故により大気中に流出することがあります。
このような状況が発生した場合は、屋内に留まり自身と家族を護るための手段(イン−プレイス・プロテクション)をとります。
以下に挙げる必要品のリストは、 引き窓や開き窓のあるマスター・ベッドルームにおいて実施するイン−プレイス・プロテクションを想定しています。
イン−プレイス・プロテクションは、当局より次の何れか又は両方の手段を通じて指示が出されます。
家族を窓や換気口の一番少ない部屋に集める
1.イン−プレイス・プロテクションの指示が出たら、冷静にそして迅速に家族を屋内に集める。
2.窓や扉を閉め、鍵をかける。
全ての換気口とエアコンの電源を切る
3.外気を取り込むため、換気口とエアコンの電源は切る。
4.窓や換気口が一番少なく、できればトイレと水道がある部屋に移動する。
隙間を塞ぐ
5.ガムテープがあれば、それを使って窓枠や扉、通気口の周りの隙間を塞ぐ。
水に浸したタオルを扉の隙間に詰める。
6.時間が許せば、ゴミ袋やプラスチックシートを隙間や開いているところに覆い、テープで塞ぐ。
こうすることにより、密閉度を高めます。
7.テレビやラジオで当局からの詳しい情報や今後の指示を得る。
8.当局から部屋を出てよい旨の指示が出たときのみ、出る。その後テープを外し、窓を開けて外気を取りれる。
勤務先や学校でのイン−プレイス・プロテクションは、家で行うものとほぼ同じですが、建物の複雑さや占有者が多数ということから
前もって避難部屋の指定をしたり、いざというときに迅速に行動がとれるよう役割分担を決めておく必要があります。
1.全ての窓と扉を閉め、機械や電気を消して熱気の発生を押さえる。
2.換気扇など外気を取り込む機器は遮断する。
3.事前に指定してある避難部屋に進む。
4.訪問者や来客を避難部屋に先導する。
5.ガムテープとプラスチックシートで隙間を塞ぐ。
6.テレビやラジオで指示を確認する。
7.イン−プレイス・プロテクションが解除された後は、窓や扉を開け、換気機器を稼動する。
自宅や勤務先、又は公共の建物の近くにいる場合は、急いでその場に向かい、そこでのイン−プレイス・プロテクションに従う。
最寄りの建物に入るか交通手段 を利用して現場から離れる。
注意:
イン−プレイス・プロテクションの実施時間は、通常数時間であり、何日にも及ぶものではありません。
避難部屋の酸素がなくなる危険は低いです。もし、放出された危険物質により被害を受けた場合は、
当局に連絡し、手当を受ける必要があります。
イン−プレイス・プロテクションについてのショート・ビデオは、こちらからダウンロードできます。
英語(10mb)、中国語(10mb)
よくある質問については、こちら。(英語)
MRTの駅とバスインターチェンジには、制服を着用した警備員が駐在しています。また、交通機関警備の記章により警備員と確認できます。
交通機関警備員は:
公共の安全を守るため、皆様のご協力をお願いします。
注意:自分の荷物を置いて、その場を離れないようにしましょう。
非常用バッグについての詳しい情報は、こちらでもご覧いただけます。
非常用バッグを準備するに当たったては、家族全員が通常どこにバッグが保管されているか知っていることが大切です。 非常用バッグは、予め準備されていて、緊急時にさっと取り出せるようにしておきましょう。
注意:
非常用バッグと中身は、
1.家から避難しなければならない状況のためである。
2.イン−プレイス・プロテクション(屋内での保護待機)のための必要物品とは別に扱う。
化学事故時に必要となるイン−プレイス・プロテクションについては、こちらを参照。
当館発行の「安全の手引き」第6項(19/23ページ)−緊急事態発生時の対応−も併せてご覧下さい。
英文オリジナルは、シンガポール政府サイトでご覧いただけます。シビルディフェンスフォースhttp://www.scdf.gov.sg/
illustration, courtesy of SCDF